リサーチャーに聞く!#148 『2025年 インドの農薬市場と各社の事業戦略』調査のポイント

2025.10.22
  • リサーチャーインタビュー
  • Chemical & Life Sciences
リサーチャーに聞く!#148 『2025年 インドの農薬市場と各社の事業戦略』調査のポイント

第148回は、2025年9月26日発刊の『2025年 インドの農薬市場と各社の事業戦略』です!
ビジネスチャンスが大きいインド農薬市場を調査。市場編では農薬市場の概況、農薬市場の変遷、主要メーカーの製品展開状況、農薬登録状況、農薬流通体制、農薬市場規模推移、今後の市場性を調査・分析している。一方、個別企業編では日本企業や外資系企業、主要現地企業の事業概要、販売高、主要拠点、製品展開、今後の展開などについても調査した当レポートについて、弊社リサーチャーの天野洋介に調査のポイントをインタビューしました!

 

天野洋介 プロフィール

リサ・リューション事業部 ソリューショングループ Chemical & Life Sciences
主任 天野洋介

—Profile—

入社当時から、Chemical分野での調査を担当している。
これまでに、医薬品原薬・中間体、界面活性剤、農薬、医薬品のCDMO市場等の調査を行った。

 


―なぜ、今回、インドの農薬市場の調査を実施しようとしたのですか?

天野現在、農薬を含めたインドの農業が活発化しております。インドは全就労人口の半数以上が農業に従事するなど、同国経済の基盤産業となっています。このような背景の中で、農作物の生産性向上を目的とした農薬の使用は不可欠な存在となっており、インドはアジアでも有数の農薬大国として注目を集めています。今後も同市場は横ばい状態の日本の農薬市場とは違って、右肩上がりに成長していくとみられます。
そこで弊社では日本の農薬メーカーにとってもビジネスチャンスがあるインド農薬の市場規模や主要企業の動向、主要な製品、有効成分、製造拠点を調査することで農薬メーカーおよびアグリ関連のお客様に有益な情報を提供できるのではと思い、本調査を開始しました。

 

―なるほど。では、今回の調査について、どのような仮説をお持ちですか?

天野日本の農薬市場と同様に「農薬販売に加えて技術・指導などを行うトータルソリューション」が浸透しているのではないかと仮説を立てました。現在、インド国内には多くの現地農薬メーカーが存在しており、彼らは価格競争力や地域密着型の販売網を強みに市場を形成しています。また、安価なジェネリック農薬や中国製品なども市場に流入しており、参入企業にとっては大きな競争要因となっています。このような状況を踏まえ、「参入企業が単に農薬を生産・販売するだけでは、激化する競争環境で優位性を維持することは難しく、各社にとって差別化戦略が不可欠である」という仮説を立てました。
さらに、各社が実施する戦略は単に価格面に限らず、製品開発や顧客との関係構築、デジタル農業の活用など多岐にわたり、現状では様々な施策が市場の中で展開されているのではという考えを持っていました。

―わかりました。今回の調査で、何か新たな発見はありましたか?

天野日本の農薬メーカーがインド農薬市場を有望なビジネスチャンスと捉え、様々な取り組みを展開していることが明らかになりました。例えば、ある日本企業では現地子会社を中心に据え、農家との直接的なコミュニケーションを通じて、インド農薬事業における差別化戦略を推進しています。具体的には、インド各地の販売チームが100日間にわたり毎日農家を訪問する「エブリデーファーマーデイプログラム」を実施しており、この取り組みにより50万人以上の農家と対話を行い、信頼関係を築くことに成功しています。こうした活動は、単なる製品の販売にとどまらず、農家のニーズ把握や現場での課題解決といった価値提供を通じて、差別化要因として機能しています。
一方、北米や欧州に本社を置く海外企業においても、インド市場での事業拡大に向けた積極的な取り組みが見られました。これらの企業は化学農薬のみならず、生物農薬やバイオスティミュラントなど次世代農業資材を含めた普及活動を行っております。さらに、ドローン散布やデジタル農業技術を活用したトータルソリューションの提案も積極的に展開。このように、多様な製品と先進技術を組み合わせたアプローチにより、現地市場での競争優位性を高めています。
加えて、インドの現地農薬メーカーと連携し、販売網の拡大や共同販売を推進する動きもあり、こうしたパートナーシップ型の戦略は今後ますます増加することが予想されます。これにより、単独企業の取り組みだけではなく、現地市場に適応した柔軟かつ協力的な戦略が競争力強化に必要であることが分かりました。

 

―農家との関係構築などの現場への細かい対応が必要なのですね。

天野そうですね。インドにおいて農家への提案は必須となっております。数ある農薬の中から、顧客のニーズにあった農薬の提案を行うことが非常に重要だと感じております。そのため、単に製品を提供するだけではなく、農家の課題や栽培環境に応じた最適な農薬選定や使用方法の提案が求められます。現地の農家は土壌条件、作物の種類、病害虫の発生状況などが地域ごとに大きく異なるため、画一的な製品説明では十分な価値を提供できません。各農家のニーズを的確に把握した上で、適切な農薬や栽培支援策を組み合わせ、デモンストレーションなどを提案することで、信頼関係の構築やリピート利用に繋がると考えられます。

 

―ありがとうございます。最後に資料の活用ポイントを是非聞かせてください。

天野インドの農薬市場は、多くの課題を抱えているものの、将来的には極めて有望な市場と位置付けられます。インド国内の農業は依然として地域差が大きく、価格競争やジェネリック製品の台頭などによる参入難易度は高いものの、政府が推進する「Make in India」政策により、国内での農薬製造機会が拡大しつつあります。
さらに、インドは世界有数の農薬輸出大国であり、現地で製造拠点を確保することは、国内需要の取り込みに加えて、輸出拡大のチャンスを獲得することにも直結します。
当レポートではインド農薬市場への戦略データとしてご活用いただける内容となっております。具体的には農薬市場の概況、農薬市場の変遷、主要メーカーの製品展開状況、農薬登録状況、農薬流通体制、農薬市場規模推移、今後の市場性を調査しております。
また、現地農薬メーカーの製品情報、製造拠点、インド国内で展開している有効成分情報、戦略的ロードマップ等、様々な用途でご活用できる内容となっております。
ご興味のある方はご試読・ご検討いただけますと幸いでございます。よろしくお願いいたします。

 

―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2025年 インドの農薬市場と各社の事業戦略」レポートは絶賛発売中です。
ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。

 

 

『2025年 インドの農薬市場と各社の事業戦略

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