TPCマーケティングリサーチ株式会社

「味が問題」という社内の思い込みを転換。喫食シーンのズレを捉え、パッケージ訴求の変更で売上を改善

2026.08.25
  • Health & Food

某大手食品メーカー
商品企画・マーケティング担当者 K様(仮名)
新発売した健康志向スナックの売れ行きが振るわず、社内では「味に問題があるのではないか」という見方が強くなっていたC社。そこで、味の改善点を明らかにするため、消費者を対象とした一般的な味覚評価調査(試食調査)を実施しようとしていました。

 

しかし、TPCからは「味ではなく、喫食シーンのズレではないか」という、当初とは全く異なる仮説が提示されました。

 

味そのものを評価するのではなく、間食をとるタイミングや一緒に飲むもの、そのときの気分など、実際の喫食実態を幅広く調査。その結果、「味が薄い」のではなく、「仕事中の罪悪感のない間食」という商品のベネフィットが十分に伝わっていないことが判明しました。

 

味の改良という多大な時間とコストをかけることなく、パッケージの訴求文言を変更することで、売上を素早く立て直すことができました。
調査概要

クライアントの相談(課題)

「新発売した健康志向スナックの売れ行きが振るわない。味に問題があると考えているため、消費者に試食してもらい、味の改善点を明らかにしたい」

一般的な調査会社のアプローチ(陥りがちな罠)

消費者に商品を試食してもらい、「味」「食感」「香り」などを評価。味に対する不満点を特定し、商品改良によって売上改善を図る。しかし、売れ行き不振の原因が味そのものにあるとは限らず、商品がどのようなシーンで求められているのか、消費者にどのような価値が伝わっているのかまでは把握しにくい。

TPCのアプローチ(真の解決策)

「味ではなく、喫食シーンのズレではないか」という仮説を提示し、一般的な味覚評価調査ではなく、消費者の喫食実態を捉える調査を設計。

定量調査では、間食をとるタイミングや一緒に飲むもの、その時の気分などを幅広く聴取し、「どのようなシチュエーションで当社のスナックが想起されているか」の全体像を把握しました。

その結果、「味が薄い」のではなく、「仕事中の罪悪感のない間食」というベネフィットが十分に伝わっていないことが判明。味の改良という多大な時間とコストをかけることなく、パッケージの訴求文言を変更することで、売上を素早く立て直しました。

「味に問題があるのでは?」――売上不振から調査を検討した背景

まず、今回の調査を実施することになった背景と、当時の課題について教えてください。

K様新発売した健康志向のスナック菓子の売れ行きが、想定していたほど伸びていませんでした。社内では、まず「味に問題があるのではないか」という話が出ていました。
健康志向の商品なので、一般的なスナック菓子と比べると味があっさりしている部分もあり、「健康を意識するあまり、おいしさが犠牲になっているのではないか」という見方が強かったんです。
そこで、味の改善点を明らかにするために、消費者に実際に商品を食べてもらい、「味」「食感」「香り」などを評価してもらう一般的な味覚評価調査(試食調査)を実施しようとしていました。

当初は「味を改善すれば売れる」と考えていたのでしょうか。

K様そうですね。
味に対する評価が低ければ、そこを改良することで商品の評価も上がり、売上改善につながると考えていました。ただ、商品を発売してまだそれほど時間が経っていなかったこともあり、味を改良するとなると、開発期間やコストもかかります。
そのため、本当に味が原因なのかは、きちんと確認しておきたいと思っていました。

「味ではなく、喫食シーンのズレではないか」――TPCから提示された別の仮説

そこでTPCに相談された際、どのような提案があったのでしょうか。

K様私たちは「味の改善点を調べたい」と相談したのですが、TPCさんからは、少し違った視点の提案がありました。それが、「味ではなく、喫食シーンのズレではないか」という仮説です。
最初は「味の調査をしたいのに、なぜ喫食シーンなのだろう」と思いました。ただ、よく考えてみると、同じ商品でも「いつ、どこで、どんな気分で食べるか」によって、求められる価値は変わります。
そこで、味そのものだけを見るのではなく、消費者がどのような場面で間食をしているのか、そのとき何を求めているのかまで調べてみることになりました。

味覚評価から、喫食実態を捉える調査へ方向転換したのですね。

K様はい。
当初は「商品のどこを直せばいいか」を調べるつもりでしたが、TPCさんからの提案を受けて、「そもそも商品の価値が正しく伝わっているのか」というところから見直すことにしました。
味に問題があると決めつけてしまうと、どうしても商品そのものを改良する方向に話が進みます。
一方で、売れない理由が商品の味ではなく、「商品の良さが伝わるシーンと、実際に消費者が想起しているシーンのズレ」にあるのであれば、商品を変えなくても改善できる可能性があります。
そこを調べられるのは、今回の調査として非常に意味があると感じました。

間食の「タイミング・飲み物・気分」から、商品の本当の利用シーンを把握

具体的な調査はどのように進んでいったのでしょうか。

K様まず定量調査で、消費者の間食の実態を幅広く調べました。具体的には、間食をとるタイミングや一緒に飲むもの、その時の気分などです。
これまでは、健康志向のスナックなので「健康を気にしている人が食べるもの」と考えていました。
しかし、実際の喫食実態を見ていくと、健康意識だけではなく、「仕事の合間に少し何か食べたい」「でも普通のお菓子を食べるのは少し罪悪感がある」といった、日常の中の具体的なシーンが見えてきました。

調査を通して、これまで想定していなかった商品の価値が見えてきたのですね。

K様そうですね。
特に印象に残っているのが、「仕事中の罪悪感のない間食」という捉え方でした。
私たちは商品の健康面や成分の特徴を中心に考えていたのですが、消費者にとっては、仕事中に気軽に食べられて、一般的なお菓子ほど罪悪感を持たずに済むことも、この商品の価値になっていたんです。
つまり、「味が薄いから売れない」のではなく、そもそも商品の価値を伝えるポイントが少しずれていたということでした。
味を変えることばかり考えていた私たちにとって、これは大きな気づきでした。

「味を変える」から「価値の伝え方を変える」へ――パッケージ訴求を見直し

今回の調査結果を受けて、具体的な施策はどのように変わりましたか。

K様最も大きかったのは、味そのものを改良するのではなく、商品の価値の伝え方を見直せたことです。調査前は、味の改善点を特定して商品を改良することを考えていました。しかし、「仕事中の罪悪感のない間食」というベネフィットが見えてきたことで、まずはその価値を消費者にきちんと伝えることを優先しました。
具体的には、パッケージの訴求文言を変更しました商品の中身を大きく変えることなく、「どういうときに食べてほしい商品なのか」が伝わるように訴求を見直したことで、売上を素早く立て直すことができました。
味の改良には、多大な時間とコストがかかります。今回、そこに手を加える前に売れ行き不振の原因を別の角度から検証できたことは、商品開発の面でも大きかったと思います。

最後に、改めてTPCへの評価をお聞かせください。

K様今回の調査で良かったのは、こちらが「味に問題がある」と考えていたことに対して、その前提を一度立ち止まって見直してくれたことです。商品が売れないときは、どうしても「商品そのものに問題があるのではないか」と考えてしまいます。
でも実際には、商品の価値そのものではなく、「誰が、いつ、どんな場面で必要としているのか」が見えていなかっただけということもある。
TPCさんは、こちらが考えていた「味の改善」という答えにそのまま向かうのではなく、「本当に味が原因なのか」というところから調査を設計してくれました。今回の調査を通じて、商品の中身を変えることだけが売上改善ではないと分かりました。
消費者の喫食シーンを捉え、そのシーンに合った価値の伝え方を考える。そうした視点を持てたことが、今回の調査で得られた大きな成果だったと思います。
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