TPCマーケティングリサーチ株式会社

市場レポートの数字だけでは判断できない。データの「三角測量」で需要と競合の実態を捉え、数十億円規模の設備投資判断へ

2026.08.25
  • Chemical & Life Sciences

某大手ケミカルメーカー
事業企画部門 担当者 E様
半導体向け特殊樹脂の需要拡大を見据え、数十億円規模の新規プラント建設を検討していたE社。しかし、既存の市場レポートでは将来の需要予測が楽観的すぎると感じており、一方で、自社の営業活動を通じて集められる競合他社の生産キャパシティ情報にも限界がありました。

設備投資の規模が大きいだけに、経営会議で投資判断を仰ぐには、単一の市場データや営業担当者からの情報だけでは不十分。将来需要と競合の供給能力について、複数の情報源から検証された「真の市場データと競合実態」が必要でした。

そこでTPCに相談したところ、複数の情報源を突き合わせて精度を高める「データの三角測量」というアプローチを提案されました。

競合他社の決算報告や設備投資計画、政府の貿易統計などの公開情報に加え、エンドユーザーや商社、業界の有識者へのヒアリングを実施。さらに、最終製品の出荷台数から樹脂需要を逆算する「ボトムアップ推計」と、業界全体の成長率から算出する「トップダウン推計」を組み合わせ、各データを徹底的に交差検証しました。

その結果、既存レポートでは捉えきれていなかった「需要見通しの甘さ」と、競合が抱えている「水面下の生産ボトルネック」が明らかに。強固な裏付けのあるファクトをもとに、経営陣も自信を持って設備投資の判断を下すことができました。
調査概要
クライアントの相談(課題)

「半導体向け特殊樹脂の増産に向け、数十億円規模の新規プラント建設を検討している。既存の市場レポートだけでは需要予測の確度に不安があり、競合の実際の生産能力も把握できていない。設備投資の判断材料となる、精度の高い市場データと競合実態を明らかにしたい」
一般的な調査会社のアプローチ(陥りがちな罠)

既存の市場レポートや公開されている統計情報をもとに市場規模・成長率を算出し、競合各社の公表している生産能力や設備投資計画を整理。市場全体の成長率や競合の生産能力をまとめることはできるものの、公開情報だけでは、実際の需要や競合設備の稼働状況、将来的な供給余力までは把握しにくい。
TPCのアプローチ(真の解決策)

一つのデータを鵜呑みにするのではなく、複数の情報源を組み合わせて検証する「データの三角測量」を実施。
● 二次調査(公開情報の網羅):
競合他社の決算報告や設備投資計画、政府の貿易統計などをくまなく収集し、ベースとなるマクロな数値を設定。

● 一次調査(サプライチェーン網羅ヒアリング):
エンドユーザーであるデバイスメーカーの購買担当者だけでなく、中間の商社や業界のKOL(有識者)にもヒアリングを実施。「カタログ上の生産能力」ではなく、実際の稼働率や歩留まりなど、公開情報からは見えにくいリアルな実態を把握。

● 社内・独自データ(精緻な推計と交差検証):
半導体の最終製品の出荷台数から必要な樹脂量を逆算する「ボトムアップ推計」と、業界全体の成長率から市場を算出する「トップダウン推計」を行い、一次・二次調査で得られたデータと徹底的に相互検証。
3方向からのアプローチによって、既存レポートの「需要見通しの甘さ」と、競合が抱えている「水面下の生産ボトルネック」を浮き彫りにし、設備投資の意思決定に必要な精度の高い市場・競合データを提示しました。

「市場は伸びる」だけでは、数十億円の投資は決められない

まず、今回の調査を実施することになった背景と、当時の課題について教えてください。

E様半導体向け特殊樹脂の需要拡大を見据えて、増産のための新規プラント建設を検討していました。投資規模は数十億円になるため、単純に「半導体市場が伸びるから増産しましょう」という話では進められません。
将来的にどれくらい需要があるのか、その需要に対して競合各社がどれくらいの供給能力を持っているのか。そこをできるだけ正確に把握したうえで、設備投資の妥当性を判断する必要がありました。

既存の市場レポートでは、判断材料として不十分だったのでしょうか。

E様既存の市場レポートも参考にはしていました。ただ、将来の需要予測については、私たちが実際に現場で感じている市場感と比べると、少し楽観的すぎるのではないかという印象がありました。
一方で、自社の営業担当者が日々の商談などを通じて集めている競合情報にも限界があります。「競合が設備を増強するらしい」といった情報は入ってきても、実際にどの程度の生産能力があり、どれくらい稼働しているのかまでは分かりません。
経営会議に出す以上、「この市場レポートにこう書いてあるから」というだけではなく、複数の情報から裏付けを取った、ブレのない数字が必要でした。

「一つのデータを信じるのではなく、複数の方向から検証する」――TPCの提案

そこでTPCに相談された際、どのような提案があったのでしょうか。

E様TPCさんから最初に説明されたのが、「一つのデータを鵜呑みにしない」という考え方でした。特に印象に残っているのが、「データの三角測量」という考え方です。
市場レポートや公開情報だけを見るのではなく、実際のプレイヤーへのヒアリングや、自社で持っているデータも組み合わせて、それぞれの数字が整合するかを確認していくという方法でした。
設備投資の判断に使うデータなので、単に数字を集めるのではなく、「この数字は本当に正しいのか」を何方向からも検証することが重要だという話でした。

市場予測だけでなく、競合の実態まで調査対象にしたのですね。

E様はい。市場が伸びるとしても、競合の供給能力が十分に増えるのであれば、自社が新たにプラントを建設する必要性は変わってきます。逆に、競合が公表している生産能力ほど実際には稼働していないのであれば、見えている数字とは違った市場環境になります。
そのため、需要側と供給側の両方を見て、さらにそれぞれの数字を別の情報から検証するという設計にしてもらいました。

公開情報だけでは見えない「実際の生産能力」をサプライチェーンから把握

具体的な調査はどのように進んでいったのでしょうか。

E様まず二次調査で、競合他社の決算報告や設備投資計画、政府の貿易統計など、利用できる公開情報をかなり広く集めてもらいました。
これによって、市場全体のベースとなる数値や、競合各社の設備投資の動きを整理することができました。ただ、そこで終わらなかったのが今回の調査の特徴だと思います。

一次調査では、どのような情報を収集したのでしょうか。

E様エンドユーザーであるデバイスメーカーの購買担当者だけではなく、中間にいる商社や業界の有識者にもヒアリングを行いました。これによって、競合各社が公表している「カタログ上の生産能力」だけではなく、実際の稼働率や歩留まりなどについても情報を集めることができました。
設備が存在しているからといって、その能力を常に100%使えるわけではありません。
そうした、公開情報だけでは分からない部分まで踏み込んで確認してもらえたことで、競合の本当の供給力を考えるうえで非常に参考になりました。

「ボトムアップ」と「トップダウン」をぶつける――数字の精度をさらに高める交差検証

さらに独自の推計も行ったのですね。

E様半導体の最終製品の出荷台数から、そこに必要となる樹脂量を逆算する「ボトムアップ推計」と、業界全体の成長率から市場規模を算出する「トップダウン推計」の両方を行いました。一つの方法だけで市場規模を算出すると、その前提条件に引っ張られてしまいます。
そこで、別の方法で算出した数字をぶつけ合わせ、さらに一次調査や二次調査で得られた情報とも照らし合わせていきました。結果として、どの数字が妥当なのか、どこに前提条件の違いがあるのかを整理することができました。

そうした交差検証によって、既存の市場レポートとの違いも見えてきたのでしょうか。

E様既存レポートでは市場がかなり伸びるという見通しになっていましたが、今回の調査で複数のデータを照らし合わせていくと、そこまで単純に右肩上がりとは言えない部分が見えてきました。
一方で、競合についても、公表されている生産能力だけを見ると供給余力が十分にあるように見えるのですが、実際には稼働率や歩留まりなどを考慮すると、水面下に生産ボトルネックを抱えていることが分かりました。
市場の需要側と競合の供給側をそれぞれ検証したことで、これまで見えていなかった市場構造がかなり具体的になったと思います。

「数字を集める」から「投資判断に使えるデータ」へ――経営会議での意思決定を後押し

今回の調査結果を受けて、社内の意思決定はどのように変わりましたか。

E様一番大きかったのは、経営会議で設備投資の判断をする際に、数字の根拠を明確に説明できるようになったことです。数十億円規模の投資になるので、「市場が伸びそうだから」という説明だけでは当然通りません。
今回、公開情報、一次調査、社内・独自データをそれぞれ突き合わせて検証してもらったことで、「なぜこの市場規模になるのか」「競合の実際の供給能力はどの程度なのか」という点を、根拠とともに説明できるようになりました。
単なるデータ集めではなく、経営判断に使えるレベルまで情報の確度を高めてもらえたことが大きかったです。

最後に、改めてTPCへの評価をお聞かせください。

E様今回TPCさんにお願いして特に感銘を受けたのは、データの精度に対するこだわりです。
市場レポートに書かれている数字や、企業が公表している生産能力をそのまま使えば、調査としてはまとまると思います。
ただ、それだけでは大きな設備投資の判断には不十分です。TPCさんは、一つの情報を鵜呑みにするのではなく、公開情報、業界関係者へのヒアリング、推計データなど、複数の方向から数字を検証していました。
特に、「ボトムアップ推計」と「トップダウン推計」をぶつけ合わせ、さらに一次・二次調査の情報とも交差検証するという進め方には、調査会社としての精度追求の姿勢を感じました。結果として、既存レポートの「需要見通しの甘さ」と、競合が抱えている「水面下の生産ボトルネック」の両方を把握することができました。
設備投資のように経営判断への影響が大きいテーマでは、都合のいい数字ではなく、複数の情報から裏付けられたファクトが必要です。今回、強固な裏付けのある市場データと競合実態を提示していただいたことで、経営陣も自信を持って設備投資の決断を下すことができたと思います。
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「市場が伸びる」「競合の生産能力が高い」といった表面的な情報だけではなく、
その背景にある市場構造や競合の実態まで深く分析し、次のアクションにつなげます。

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お気軽にご相談ください。

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