リサーチャーに聞く!#126 『2024年 大人のアトピーの実態と化粧品ニーズ(第2弾)』調査のポイント

2025.06.24
  • リサーチャーインタビュー
  • Beauty & Cosmetics
リサーチャーに聞く!#126 『2024年 大人のアトピーの実態と化粧品ニーズ(第2弾)』調査のポイント

第126回は、2025年1月31日発刊の『2024年 大人のアトピーの実態と化粧品ニーズ(第2弾)』です!
アトピー女性の肌悩み、処方薬や化粧品での対策実態、通院実態、敏感肌コスメへのニーズなどを調査した当レポートについて、弊社リサーチャーの今奥絵梨花に調査のポイントをインタビューしました!

 

今奥絵梨花 プロフィール

リサ・リューション事業部 ソリューショングループ Beauty & Cosmetics
主任 今奥絵梨花

—Profile—

2017年に入社後、健康食品などヘルスケア領域のマーケット/コンシューマー調査を担当。
現在は化粧品領域において、主にスキンケア関連のコンシューマー調査や企業のマーケティング相談への支援およびコンサルティングなどを担当している。
趣味は舞台・ミュージカル鑑賞で、休日はたまに東京にも遊びに行く。

 


―今回、「アトピー女性」にフォーカスした調査を行ったのはなぜなのでしょうか。

今奥以前弊社にて、敏感肌の女性を対象とした消費者調査を行ったことがあるのですが、そちらのデータをご活用いただいているお客様から「もっと症状の重い人にフォーカスしたデータが見たい」という要望をいただくことが何度かあり、企画いたしました。
また、敏感肌コスメマーケットにおける近年のトレンドとして、皮膚科学に基づいたアプローチで肌悩みを解決する”ダーマコスメ”が人気を博していたり、美容医療的な訴求を取り入れた商品が増加するなど、マーケット視点で見ても化粧品と医療の重なりが大きくなってきている潮流がありましたので、アトピー女性のスキンケアニーズ、特に敏感肌コスメに焦点を当てて調査を行うには良いタイミングなのではないかと思い、実施するに至っています。

そのような背景から、当調査では「現在アトピー性皮膚炎の症状があり、「顔」になにかしらの肌トラブルや悩みを抱える20~60代女性」を対象に、処方薬など塗り薬での治療実態に加え、化粧品の使用実態やニーズを探るべく、調査を行いました。

 

―なるほど。特に今回、化粧品の使用、なかでもスキンケアのニーズに注目されたとのことですが、アトピー女性ならではのスキンケアの悩みとして、なにか事前に想像されていた仮説などはあったのでしょうか?

今奥アトピーは皮膚疾患のため、皮膚科やクリニックに通い薬をもらって治療を続けている人が多いです。私自身も子どもの頃からアトピーに悩んでいるため、実体験に基づく仮説でもあるのですが、病院の先生は薬に関する指示やアドバイスはくれるものの、その一方で日々のスキンケアに関する悩みについては相談がしづらく、不満を持っている人が多いのではないか?という考えが浮かびました。皮膚科も様々なので、先生のスタンスによっては「化粧品はなるべく使わず薬だけで対処してください」という方針で治療を行っているケースが多いことも考えられます。

アトピーでも自分に合ったスキンケアをしたいと考える生活者の中には、そんな医者とのコミュニケーションにギャップや不満を感じている人がいるのではないか?と思い、化粧品メーカー目線で考えたときに、実際に治療を受けているアトピー女性はこう思っていますという生の声が見えたら、ドクターに対して営業を行う営業担当者の方にとっても有用なデータとなるのではと考えました。

また、実態として塗り薬と化粧品を併用しているケースが大半と予想される中、アトピー女性にとっての化粧品の位置づけや重要性がわかれば、現在のスキンケアで満たされていないニーズの顕在化に繋がるのではないかとも考え、これらのポイントを軸に調査設計をしました。

 

―確かに、肌が弱くてもスキンケアは毎日しないといけないし、人によってはもっとスキンケアを楽しみたい、自分に合ったスキンケアの方法がわからないから病院の先生に教えてもらいたい、と内心不満を抱えている患者さんは多いかもしれませんね。
実際の調査結果として、そのあたりなにか興味深いデータなどはみられましたか?

今奥今回興味深かった調査結果としては2つあります。
まず1つ目が、アトピー女性にとってスキンケア化粧品がいかに重要視されているかという点です。アトピーの症状に対し処方薬・市販薬・スキンケア化粧品を使うことがそれぞれどの程度重要だと思うか尋ねたところ、処方薬の重要度は平均して90%ほどでしたが、スキンケア化粧品でも70~80%ほどの数値がみられ、多くのアトピー女性がその重要性を認識していることがわかりました。特に、アトピー症状が軽度の人(アトピー女性全体の約3割)ではその傾向がより強く、全体として、スキンケア化粧品が処方薬と同様に大切な存在となっていることが示されています。

2つ目に、皮膚科・クリニックの化粧品の販売チャネルとしての今後の可能性が感じられた点についてです。
今回、皮膚科・クリニックでの化粧品購入経験を尋ねたところ、全体の29.9%が購入経験があると回答しています。
この数字だけ見ると高いのか低いのかなんともいえないかと思いますが、化粧品の購入チャネルとして医科ルートのマーケット規模はかなり小さい中、アトピー女性に限れば約3人に1人が該当すると考えると意外と多いといえるのではないでしょうか。

また、診察中に医師にスキンケアのアドバイスをしてほしいと思ったことがある・実際に相談をしたことがある人の割合は約4割にのぼり、さらに医師に相談経験のある人は、化粧品の情報源としてSNSなどよりも「医師・看護師」をより重視する傾向があることもわかりました。

これらを踏まえると、アトピー女性にとって皮膚科・クリニックはスキンケアの重要な情報収集の場である可能性が示唆され、化粧品選択に特に慎重になりやすい彼女たちにとって、「皮膚科・クリニック」に置かれている化粧品ブランドというのはそれだけで大きな価値を持つことが予想されます。医科ルートの営業活動に課題を持たれているお客様にとって、消費者の生の声を活用することのできる当レポートは、大いにお役立ていただけるのではないかと感じております。

 

―こういったデータを使えば、病院のドクターに自社のスキンケアブランドを売り込む際の有効な説得材料にもなりそうですね!
そのほか、注目してほしいポイントなどがあったら教えてください。

今奥個人的にはクラスター分析に注目してほしいです。アトピー女性をクラスターという軸で見た調査は、おそらく他にないのではないでしょうか。

今回、自身のアトピー症状に対する考え方や、化粧品・薬の位置づけなどの違いにより、
「積極治療タイプ」「アトピー受忍タイプ」「あきらめタイプ」「アトピー甘受タイプ」「悩み相談タイプ」「コスメ志向タイプ」の6タイプに分類されました。
面白いのが、今回アトピー症状のレベル別でもユーザーの分類を行っていますが、症状が重い人の中でも美容意識の高いクラスターもいれば、現状維持を望む消極的なクラスターもいて、アトピー女性をターゲットにしたマーケティングでは必ずしも症状レベルだけで一元的に捉えることは難しいとわかりました。

 

―色々とお話いただきありがとうございます。最後に、こちらのインタビューをお読みいただいているお客様に一言お願いいたします!

今奥ここまでお読みいただきありがとうございます。
当レポートはアトピー女性向けはもちろん、関連が深い敏感肌女性向けの商品開発、ターゲット策定、ブランド戦略の構築、チャネル戦略、営業戦略の検討など、あらゆる目的にご活用いただけるデータが満載です。
詳細が気になる方は、ぜひ無料のオンラインミーティングにて実際のレポートをご覧いただき、お客様の悩みを一緒に解決できればと思います。ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ!

 

―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2024年 大人のアトピーの実態と化粧品ニーズ(第2弾)」レポートは絶賛発売中です。
ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。

 

 

『2024年 大人のアトピーの実態と化粧品ニーズ(第2弾)

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