リサーチャーに聞く!#139 『2025年 分離膜の市場分析調査』調査のポイント

2025.09.01
  • リサーチャーインタビュー
  • Chemical & Life Sciences
リサーチャーに聞く!#139 『2025年 分離膜の市場分析調査』調査のポイント

第139回は、2025年7月15日発刊の『2025年 分離膜の市場分析調査』です!
廃水を処理する、海水を淡水化して飲料水を生成する、半導体製造工程に使用する超純水を製造するといったような、サステナビリティのためのリサイクルから先端科学にいたるまで広い用途をカバーする液体分離膜、気体からエネルギーを分離・回収するサステナビリティやカーボンニュートラルに寄与する気体分離膜、これら2種類の分離膜を調査対象に設定した当レポートについて、弊社リサーチャーの森惠佑に調査のポイントをインタビューしました!

 

森惠佑 プロフィール

リサ・リューション事業部 ソリューショングループ Pharmaceuticals & Medical
係長 森惠佑

—Profile—

入社当時は、メディカルでマーケット調査を担当。
次に、ケミカル分野でのマーケット調査。その後は、再びメディカル分野での患者調査に専従。
ケミカル分野とメディカル分野を行きつ戻りつし、現在はメディカル分野に軸足を置いて調査業務を行う。

 


―分離膜がテーマということですが、この調査における分離膜はどういったものを指しているのでしょう。

さまざまな種類の分離膜が化学製品として展開されているなか、今回は分離対象の状態が液体の場合と気体の場合の2種類の分離膜を取り上げ、それらを調査対象として設定しました。本レポートでは、それぞれ液体分離膜、気体分離膜と分類しています。

液体分離膜は、ろ過膜とほぼイコールとなります。ろ過膜は、液体状態にある混合物から、懸濁物質や細菌、有機物、イオン等を除去し、目的の成分を分離・濃縮・精製する微細な孔を持つ膜状の化学製品です。
膜表面にある孔径のサイズの違いで、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、ナノろ過膜(NF膜)、逆浸透膜(RO膜)と種類・用途が分かれ、このうち孔径の大きいMF膜は飲料水の製造や水処理に、また孔径の小さいRO膜は海水の淡水化や純水の製造などに向きます。

一方、気体分離膜は、気体状態にある混合物から目的の成分を分離・回収するガス分離膜などが主に該当します。例えばガス分離膜は、バイオガスからバイオメタンを回収する、混合ガスから水素を分離する、産業排ガスからCO₂を分離する、空気中から窒素を回収するなど、さまざまな気体分離機能を持っています。

 

―今回、そうした分離膜の調査を実施した経緯を教えてください。

環境性・サステナビリティへの指向は、近年ケミカル業界において重点トピックであり続けています。また、環境に配慮しつつも先端科学に技術・製品で貢献することも、ケミカル企業の事業拡大にあたっては重要なビジネステーマです。
その前提のもと、液体分離膜をみると、排水処理や海水淡水化といったさまざまな水処理、半導体製造に必要な超純水の製造、医薬品の製造、食品の製造、飲料の濃縮など広い用途で活用されています。
また、気体分離膜は気体からのメタンや水素回収に、つまりはエネルギーの回収・再利用によく用いられます。

このように、これらの分離膜は水処理やエネルギー回収といった環境性・サステナビリティ、それから半導体といった先端科学の双方をカバーしています。「膜分離」という技術・テーマの観点から、ケミカル各社の環境分野や先端的な科学分野へのアプローチをみてとれると考え、調査テーマに設定しました。

―分離膜の市場調査ということで、具体的にはどのようなことを調査したのでしょうか。

調査対象の企業は、膜モジュールや膜エレメントを中心に事業を展開する国内外の化学企業としました。
各社の分離膜製品ラインアップや研究開発動向、生産体制、事業規模、今後の戦略などについて調査した結果を個別に報告しています。
そして、それらを総合して、分離膜市場全体の製品展開、研究開発の動き、市場規模、今後の市場予測等をレポートしています。

 

―以上の調査した事柄に関して、特に注目すべきポイントは何でしょうか。

主要各社の事業規模は、なかなか見えてこない部分ですので、お役に立つポイントかと思います。
また、製品展開も注目ポイントです。分離膜の用途は企業や製品ごとに統一的ではなくそれぞれの製品カタログを確認しただけでは比較しづらいケースも多くあります。本レポートはそこを機能別、産業別の2軸で分類し、漏れや重複なく確認できるようにしています。
具体的には、
・機能別は、水処理、(超)純水製造、エネルギー回収、リサイクル、その他
・産業別は、食品・飲料、医療・医薬品、工業(化学・電子他)、発電・エネルギー、その他
このように大別しています。
例えば、水処理は排水・上水処理、廃水の再利用や汚泥処理、海水淡水化などを含みます。また、エネルギー回収はメタンや水素の回収を指し、リサイクルは水以外の有価物、例えばリチウムのようなレアメタルやシリコン研磨剤などの回収を指します。このように機能と産業を別々に分類することで、詳細に用途の実態に迫ることができます。

 

―よくわかりました。最後に一言お願いします。

環境への意識の高まりや環境規制の強化などを背景に、中国やアジアを中心に多くの国・地域で水処理やガス分離によるエネルギー回収の需要が高まっています。こうした市場環境の中、分離膜市場全体の現状と今後の進む方向性を把握できるデータを本レポートにて提供します。
また、環境性・サステナビリティと半導体のような先端科学というケミカル業界の多くの分野に関わるトレンドテーマを内包していますので、膜関連事業を展開している企業様はもちろん、直接ご関連のない企業様にも参考になるレポートかと思います。

 

―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2025年 分離膜の市場分析調査」レポートは絶賛発売中です。
ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。

 

 

『2025年 分離膜の市場分析調査

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