リサーチャーに聞く!#145 『2025年 健康菓子市場の動向と将来展望』調査のポイント

2025.10.20
  • リサーチャーインタビュー
  • Health & Food
リサーチャーに聞く!#145 『2025年 健康菓子市場の動向と将来展望』調査のポイント

第145回は、2025年8月18日発刊の『2025年 健康菓子市場の動向と将来展望』です!
拡大が続く健康菓子市場に焦点を当て、分野別・カテゴリー別・ヘルスクレーム別・チャネル別など多角的な視点から市場動向を分析。さらに、主要プレーヤーの商品戦略や販促活動を通じて、今後成長が見込まれる注目領域を明らかにし、各社が今後の商品開発・事業戦略に資する実践的な示唆を提供した当レポートについて、弊社リサーチャーの前田雅俊に調査のポイントをインタビューしました!

 

前田雅俊 プロフィール

リサ・リューション事業部 リサーチグループ Health & Food
前田雅俊

—Profile—

2022年に入社後、健康食品分野を中心に、通信販売や研究開発に関する調査を担当。
現在は知見を広げるため、健康食品に限らず、さまざまな分野のレポート作成にも携わっている。
また、会社近くにある京セラドーム大阪の影響で、最近は野球観戦の機会が増加。
ファンである中日ドラゴンズの試合を観るため、バンテリンドーム名古屋への遠征も計画中。

 


―なぜ今回、菓子市場全体ではなく、「健康菓子」に特化した調査を実施したのでしょうか?

前田近年、少子化や人口構造の変化により、菓子市場全体の成長は鈍化傾向にあります。そうした中で、健康意識の高まりを背景に、「健康効果」を訴求した健康菓子市場は着実に存在感を強めてきました。
特に新型コロナウイルス感染拡大を契機に、免疫や腸活、ストレス対策といった“機能性”へのニーズが一段と高まっています。さらに、精神的な健康や環境配慮といった新しい価値も注目され、各社はこれらのニーズに応えるべく商品開発を一層強化しています。
こうした変化が進む健康菓子市場に焦点を当てることで、従来の菓子市場の課題を乗り越えるヒントを提示するとともに、企業様が今後の事業戦略を具体的に検討される際の有益な材料を提供できると考え、今回の調査を実施いたしました。

 

―なるほど、そのような背景があったのですね。では、実際の調査を通して、どのような発見がありましたか?

前田はい、大きく2つの発見がありました。
1つ目は、健康菓子市場のターゲット層が従来の子ども中心から働く大人層へと広がり、求められる機能性も多様化している点です。たとえば、森永製菓の「大粒ラムネ」は、子ども向けのイメージが強かったラムネを大人仕様に再設計し、食べごたえや視覚的な演出を工夫したことで顧客層の拡大に成功しました。その結果、2024年の売上高は前年に比べ71.0%増と大きく伸長しています。
2つ目は、健康価値の打ち出し方の変化です。エビデンスに基づく機能訴求に加え、「おいしさと健康の両立」が支持を集めている点です。たとえば、ロッテの「ZERO」は砂糖ゼロ・糖類ゼロでありながら、チョコレートのおいしさを再現することに成功しました。健康を意識しながらもおいしさを楽しめるギルトフリーな菓子として消費者ニーズを的確に捉え、前年比36.9%増と順調に成長しています。
こうした事例から、市場の拡大は「健康」だけでなく、「おいしさ」や「楽しさ」との両立によって支えられていることが明確になりました。

―そのような発見があったのですね。では、明らかになったことは何かありますか?

前田はい、特徴的な動きとして「グミサプリ」のように、サプリメントブランドと菓子が融合した新しい商品群が需要を伸ばしていることが挙げられます。たとえば、味覚糖の「UHAグミサプリ」は、グミという手軽に摂取できる形状に「おいしさ」と「栄養補給」という機能を組み合わせることで、日常生活に自然に取り入れやすい商品として支持を拡大し、前年比28.5%増と大きな成長を遂げています。
従来の「健康のために仕方なく摂るサプリメント」とは異なり、「楽しみながら健康を意識できる」という新しい価値を生み出したことが、市場拡大の一因であることが明らかになりました。

 

―非常に興味深いですね。それでは、健康菓子市場で特に注目すべきトレンドはありますか?

前田注目すべき点は大きく2つあります。1つ目は、機能性表示食品制度を活用し、明確な健康効果を訴求する傾向です。たとえば、明治の腸活スイーツ「オリゴ糖ミルクチョコレート」は整腸効果を謳い、カルビーの「フルグラ 食後の血糖値ケア」は血糖値対策を打ち出すなど、特定の健康課題に対応する取り組みが強化されています。こうした商品は、科学的根拠に基づいた機能性を明確に提示することで、消費者の信頼を獲得しています。
2つ目は、機能性表示食品制度に依存せず、健康イメージを前面に出した価値提案が拡大している傾向にあります。江崎グリコの「SUNAO」は、「適正糖質」「素材のおいしさ」「食物繊維たっぷり」といった訴求で消費者に浸透し、明治の「チョコレート効果」は、「高カカオポリフェノール」「低GI」「美と健康」「習慣化」といったキーワードで支持を拡大しています。
このように、今後は科学的根拠を示す機能性表示食品による差別化と、低糖質設計や自然派素材など制度に依存しない価値提案の両立が、健康菓子市場での成功に不可欠であると考えられます。

 

―なるほど、機能性表示食品の活用と制度に依存しない価値提案の両立が必要になるのですね。
では、最後に本調査レポートにおいて「ここに注目してほしい!」というポイントは何でしょうか?

前田本レポートの最大の強みは、健康菓子市場の動向を多角的な視点から詳細に分析している点です。単なる市場規模の把握にとどまらず、主要企業の戦略や今後の成長が期待される注目領域までを具体的に整理しています。
具体的には、「エフォートレス(選ぶ手間をなくす/無理なく摂取できる)」といった消費者ニーズや、「プレミアム商品」「サスティナブルフード」といった健康菓子市場における新たなトレンドについても掘り下げています。
消費者が「なんとなく体に良い」という曖昧なイメージではなく、科学的根拠や明確な健康効果を求める傾向が強まっている今、本レポートが企業様の新たな商品開発や事業戦略をご検討いただく上での指針となれば幸いです。

 

―本日は貴重なお話をありがとうございました。
なお、今回インタビューで取り上げた「2025年 健康菓子市場の動向と将来展望」レポートは、現在好評発売中です。
詳細やご購入に関するお問い合わせは、ぜひ弊社までお気軽にご連絡ください。

 

 

『2025年 健康菓子市場の動向と将来展望

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