美容・化粧品
第121回は、2025年5月2日発刊の『2025年 世界の植物性たんぱく素材市場』です!
企業・エリア・原料・用途などの観点に加えて、各エリアの行政や関連団体の最新の取り組みなど背景情報を分析。今後の植物性たんぱく素材市場の可能性を明らかにするとともに、海外だけでなく国内においても戦略策定のヒントになる情報を提供した当レポートについて、弊社リサーチャーの佐藤照穂に調査のポイントをインタビューしました!
佐藤照穂 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Health & Food
主任 佐藤照穂
—Profile—
2018年入社。食品、医薬品、ヘルスケアなど様々な領域を経験。
研究開発、海外事業、BtoBビジネスなど、独特なテーマを扱うことが多い。
1日に1万歩以上歩いている。
―なぜ、今回のテーマについて調査を実施したのでしょうか?
佐藤:はい、植物性たんぱく素材の市場は、”たんぱく質クライシス”と呼ばれる食糧危機や世界的な肥満率の増加などの懸念事項を背景に注目を集め、将来的な成長が期待されています。特に2020年以降はプラントベースフード(PBF)が革新的な事業として注目を集め、一気に投資が加速しました。
しかし、近年はロシアのウクライナ侵攻による各種コストの増加を発端として、こうした成長路線に疑問を抱く声も少なくありません。先に述べたPBFなどは、大手メーカーが苦戦し、大減益になっているという話を耳に挟んだ方も多いはずです。
こうした先行きの不透明な市場の実態を探り、そこに参入している企業の動向と取り組みを理解することで、国内で活躍される企業の皆様の事業にも、今後のヒントとなるような情報が提供できるのではないかと考えました。
―なるほど、そのような背景があったのですね。
今回の調査では、どのようなことが明らかになったのでしょうか?
佐藤:まず、現在の植物性たんぱく素材の市場自体は、様々なマイナス要因と向き合いながらも、着実な成長を続けています。その規模は2024年時点で1兆6千億円弱となっており、2030年には2兆円を超える見通しです。調査を進める中で、この市場成長の背景には3つの大きなトレンドがあることがわかりました。
1つ目は、中国や東南アジア諸国を中心としたアジア・太平洋エリアの市場成長。販売高における構成比はそこまで大きくなっていないのですが、このエリアは宗教・食習慣が多様で植物性たんぱく素材を消費する受け皿が大きく、欧米に引けを取らないスピードで拡大しています。
2つ目は、エンドウ豆たんぱくの拡大。この素材はアレルゲンフリー、非GMOといった特徴があり、既存の大豆や小麦と差別化した選択肢として大手が生産拡大に取り組みました。
3つ目が、多用途化です。以前は畜肉加工品などの混ぜ物や製菓・製パン用途というところが大きかったのですが、PBFの普及や健康意識の高まりに伴って、飲料や乳製品、プロテインなどの健康栄養食品に向けた素材とが拡大し、全体の成長にプラスオンとなっています。
―3つの成長要因から市場が拡大しているということですね。
具体的にはどのような企業や製品が注目されているのでしょうか?
佐藤:企業単位だと最近合併したdsm-firmenichや欧州の企業であるRoquette、Cargillなどの動向が面白いかと思います。他の企業が近年の物価高騰で事業への取り組みを再検討しているのに対し、これらの企業では植物性たんぱく素材への注力度を高め、原料ラインアップや用途開発を進める形で注力度を高めています。
特に近年は、ユーザーサポートの面で加工技術をブラッシュアップしていこうとする動きが多く、各社で開発施設や提携が活発に行われています。競争環境自体は激化していますので、こうした技術力に対する投資が今後の市場で生き残っていくための鍵になるのかもしれません。
新規の原料としては、先ほど挙げたエンドウ豆以外にも他の豆類や穀類を活用した非GMOの素材が多く上市されています。これらの素材は生産量の面でまだ課題を多く抱えていますが、高付加価値・差別化の素材として注目が集まっています。
―なるほど、企業の技術に対する取り組みが重要になってきそうですね。
他にも今回のレポートで注目してほしいポイントなどありましたら教えてください。
佐藤:今回のレポートは世界市場を銘打っておりますが、本質的には2022年に発刊した「植物性たんぱく素材の市場動向と将来展望」を踏襲した内容となっています。日本はアジア・太平洋エリアから切り離して個別に算出しておりますので、以前のデータの更新版として参照いただき、他のエリアとの比べながら特性を把握していただくことが可能です。
もちろん、市場規模だけでなく各エリアで活発になっている行政の取り組みや、関連団体の活動なども確認できますので、背景から市場を理解していただけると思います。
―国内市場や海外の背景情報も把握できるということですね!
それでは最後に植物性たんぱく素材やPBFに関心のある方に向けて一言お願いします。
佐藤:特に、今回のレポートは,海外の動向を知るだけでなく、「日本国内の事業にどのように活用できるか」という観点で作成しました。海外への参入を検討しておられる企業担当者様だけでなく、国内での開発やマーケティングにも活用いただける情報が多数ございます。
特に、「今後の方向性」の部分は「今後の市場に対してどのように関わっていくべきか?」という根本的な問いに答えるものとなっていますので、ご確認いただけましたら幸いです。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2025年 世界の植物性たんぱく素材市場)」レポートは絶賛発売中です。
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