リサーチャーに聞く!#143 『2025年 ベースメイク化粧品の使用実態と今後のニーズ』調査のポイント

2025.10.06
  • リサーチャーインタビュー
  • Beauty & Cosmetics
リサーチャーに聞く!#143 『2025年 ベースメイク化粧品の使用実態と今後のニーズ』調査のポイント

第143回は、2025年6月27日発刊の『2025年 ベースメイク化粧品の使用実態と今後のニーズ』です!
年代別に加えて、「コンシャスタイプ」「ビューティエイジングタイプ」「エコラグタイプ」「ビューティ・マスタイプ」「セーフティタイプ」「ローコストタイプ」「ノー・リーズンタイプ」の7つのクラスターでも分析した当レポートについて、弊社リサーチャーの吉岡由莉に調査のポイントをインタビューしました!

 

吉岡由莉 プロフィール

リサ・リューション事業部 リサーチグループ Beauty & Cosmetics
吉岡由莉

—Profile—

2024年に入社後、化粧品関連のマーケット/コンシューマー調査を担当。
直近では、スキンケアやヘアケアに関する調査を担当している。
最近はカプセルトイにはまっており、ディスク周りに可愛く飾っています。

 


―今回「ベースメイク」をテーマにした調査とのことですが、なぜこの調査を行ったのですか?

吉岡近年、スキンケア発想のベースメイクが大きなトレンドとなっており、いわゆる「スキンケア」と「メイクアップ」の境界線が曖昧になってきています。たとえば、美容液ファンデーションが大ヒットして以降、スキンケア効果を謳う化粧下地やフェイスパウダーが続々と登場したりと、ベースメイクアイテムの訴求のされ方や、消費者への価値の伝え方が大きく変わってきているのが現状です。
また、弊社が毎年実施している「女性の美容」に関する調査では、ファンデーションの使用率は減少傾向にある一方で、化粧下地の使用は年々増加しているというデータがあります。かつては”ベースメイク=ファンデーションを塗る”ことが当たり前でしたが、最近では”肌をきれいに見せる手段”が多様化。ノーファンデを訴求した肌補正効果の高い化粧下地や、くすみや毛穴などの肌悩みのカバーに特化したフェイスパウダーなどが市場で存在感を見せており、ベースメイクアイテムのポジションが変化しつつあります。こうした背景を踏まえ、まさに今がベースメイクの使用実態を捉える好機であると考えました。そこで、20代~70代の一般女性を対象に、実際の消費者がどんな基準でベースメイクを選び、どう使っているのかを明らかとするため、今回弊社ではじめて「ベースメイク」に絞った消費者調査を実施するに至りました。

 

―確かに、最近は“美容成分配合”といった表現が目立つベースメイクアイテムをよく見かけますよね。下地ひとつとっても、トーンアップ・保湿・UVカットなど複数の機能を備えたアイテムが増えていて、選び方も幅広くなっていると感じます。では、実際の消費者はどのようにベースメイクアイテムを使用しているのでしょうか?

吉岡まずは、ベースメイクアイテムの基本的な使用実態についてご紹介します。
現在使用されているアイテムの中で、平日・休日を問わず最も多く使用されているのは「化粧下地」であり、過半数の女性が使用していることがわかりました。これに続き、「パウダーファンデーション」や「フェイスパウダー(ルースタイプ)」が、いずれも約3割の使用率となっています。

ファンデーションに関しては、剤型ごとに結果を集計しており、20代では「リキッド」や「クッション」タイプの使用が多く、50代では「パウダー」タイプ、70代では「クリーム」タイプの使用率が高くなっており、年代ごとの特徴が明確に現れています。

また、ベースメイクアイテムの選定基準についても、年代によって重視するポイントが異なります。
20代・30代の若年層では、「毛穴のカバー」や「テカリにくさ」に加え、肌の凹凸を整える「プライマー効果」、ピンクやグリーンなどのコントロールカラーによる「色補正効果」などが重視されています。
一方で、50代以降では「使い心地」や「厚塗りに見えない仕上がり」に加えて、「美白有効成分」や「シワ改善有効成分」など、肌悩みにアプローチする美容成分が含まれているかどうかが、選定の重要なポイントとなっています。

なお、こうした重視点に関するデータは、全体傾向をまとめたものですが、本調査ではアイテム別に詳しい重視ポイントを確認できる設計となっています!

 

―年代ごとに求める機能や使用アイテムに明確な違いが見られるのは非常に興味深いですね。消費者のニーズが年齢層によってきちんと分かれていることがデータからもよく伝わってきます!
このほかにも、注目すべき傾向や特徴的なデータがあれば、ぜひ教えていただけますか?

吉岡今回の調査結果の中で、特に興味深かった点が2つあります。

まず1点目は、「ノーファンデ」の実態についてです。近年、メイク離れやノーファンデを訴求する商品が注目される中で、実際にノーファンデ(※)で過ごしている人の割合を調べたところ、全体の11.0%にとどまる結果となりました。また、ベースメイクに関する不満としては、「カバー力が物足りない」「シミを隠し切れない」といった声の出現率が高く、依然として“肌悩みのカバー”がベースメイクの主要な役割として捉えられていることがわかります。これらの結果からも、ファンデーションは現在も一定数の人に使用されており、ベースメイクにおける主要なアイテムとして位置づけられていることがわかります。

2点目は、ベースメイクにおける「日焼け止め効果」の位置づけについてです。ベースメイク選びにおいて「日焼け止め効果があること」を重視する人は全体で34.6%となり、特に60代・70代でその傾向が顕著でした。
さらに注目すべきは、スキンケア段階で「日焼け止め」を使用している人ほど、ベースメイクにおいても紫外線対策を重視する傾向が強いという点です。スキンケアとベースメイクの両方でUVケアを行う、いわば“重層的な紫外線対策”が行われている実態が明らかになりました。なお、本調査ではベースメイクのアイテム別に求めるSPF・PAの強さについてもデータを取得しており、今後の処方開発や商品設計の検討材料としてご活用いただけます。

※ノーファンデは化粧下地使用者かつファンデーション未使用者

 

―ノーファンデ派の割合が思ったより少なく、肌悩みのカバー需要が根強いことや、スキンケアとベースメイクでの重層的なUV対策の実態がはっきり見えた点は、ありそうで意外と明確になっていなかった面白いデータだと感じました!では、最後に、今回の調査のここに注目してほしい!というポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。

吉岡本調査では、ブランド分析も充実しており、ドラッグストア、通販、デパートコスメ、韓国コスメ、そして近年注目を集めているインフルエンサー発のブランドについても、使用率や評価ポイントを幅広く聴取しています!

なかでも注目したいのが、ベースメイクにおける韓国ブランドの動向です。「クッションファンデーション」では、TIRTIR、MISSHA、CLIOなどの韓国ブランドが特に多く使用されていました。

そこで、韓国ブランドを「お気に入りブランド」として選んだ方々にその理由を尋ねたところ、「崩れにくい」「服やマスクに付きにくい」「長時間きれいな仕上がりを維持できる」といった機能面での評価が、全体と比べて高く出ています。特に「服やマスクに付きにくい」という点は、コロナ禍で注目された“マスクにつかないコスメ”のニーズが、現在も定着していることを示しており、長時間崩れにくいという特性が、現在も高く評価されていることがわかります。

一方で、機能面以外では、「口コミが良い」「流行している」といったトレンド性のほか、「持ち運びできるサイズである」「使い切りやすいサイズ・容量である」「メイクの時間が短縮できる」といった利便性も高く評価されています。最近では、キーチャーム型のアイテムが韓国ブランドからよく発売されており、コンパクトでデザイン性の高いパッケージが若年層のニーズと合致している点も見逃せません!

なお、本調査では全99ブランドについて、使用実態や評価ポイントを聴取しており、自社ブランドの立ち位置や、競合ブランドがなぜ選ばれているのかを、消費者のリアルな声から把握いただけます!

 

―韓国コスメが機能性だけでなく、使いやすさやデザイン性といった面でも高く評価されていることが明らかになり、改めてその人気の理由が実感できる、興味深い結果でした。それでは最後に、こちらのインタビューをお読みいただいているお客様に一言お願いいたします!

吉岡最後まで、お読みいただきありがとうございます!当レポートでは、ベースメイクに関する基礎データとしてはもちろん、化粧下地、ファンデーション(剤型別)、BB・CCクリーム、コンシーラー、フェイスパウダーの5つのアイテムごとに使用実態を深掘りしておりますので、各アイテムの商品企画・開発・処方の検討にもご活用いただけます!詳細が気になる方は、無料のオンラインミーティングにて実際のレポートをご覧いただけますので、ぜひお気軽にお問い合わせくださいませ!

 

―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2025年 ベースメイク化粧品の使用実態と今後のニーズ」レポートは絶賛発売中です。
ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。

 

 

『2025年 ベースメイク化粧品の使用実態と今後のニーズ

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