美容・化粧品
第149回は、2025年10月24日発刊の『2025年 欧米化学メーカーのR&D戦略調査』です!
欧州および米国の主要化学メーカー16社を対象に、研究開発事業の全体的な現状と今後の方向性を把握することを目的に、各企業の同事業における戦略を多角的に調査・分析。具体的には、各社の企業概要、研究開発費・人員、研究開発体制、研究開発動向、特許出願状況、研究開発戦略・計画についてレポートした当レポートについて、弊社リサーチャーの中津啓揚に調査のポイントをインタビューしました!
中津啓揚 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Chemical & Life Sciences
中津啓揚
—Profile—
入社前まで、名古屋の自動車調査会社や東京のビジネス情報コンサルティング会社に勤務。
TPCに入社後は、生産財チームでケミカル分野の調査を担当している。
―なぜ、今回この調査を実施しようとしたのですか?
中津:今回の調査は、ご好評をいただいた「2023年 ケミカルメーカーのR&D戦略調査レポート」(国内版)に続く姉妹編として、欧米の主要化学メーカーを対象に実施しました。
国内の化学メーカーがR&D戦略を策定する上で、海外大手メーカーの事業転換や技術開発の動向を体系的に把握できる調査レポートは非常に有用であると考えたことが背景にあります。
近年、化学産業は汎用化学品から高付加価値の高機能化学材料へと軸足を移しつつあり、M&Aや事業売却を通じたポートフォリオの再構築が加速しています。
こうした動きの中で、欧米メーカーはR&Dを「競争力の源泉」として再定義し、持続可能性・デジタル化・顧客起点といった新たな価値軸を中心に戦略を再構築しています。
さらに、脱炭素社会への移行や地政学的リスクの高まりなど、業界を取り巻く環境は複雑化しており、研究開発への投資判断や体制づくりが各社の成長を左右する時代となっています。
今回の調査では、単なる投資規模の比較にとどまらず、各社のR&Dの狙いや方向性を定性的・定量的の両面から分析することで、国内メーカーの今後の戦略立案のヒントとなる内容としました。
―今回の調査で、何か新たな発見はありましたか?
中津:調査の結果、欧米の主要化学メーカー16社のR&D活動には、共通の傾向が見られました。
第一に、「サステナビリティ」を軸とした脱炭素型・循環型製品開発へのシフトです。再生可能資源や廃棄物のリサイクル、電動化対応素材など、環境負荷の低減と新市場創出を両立させる取り組みが進展しています。
第二に、「デジタル化」の加速です。AIやデータ解析を用いた材料探索や、シミュレーション技術による開発効率化が広がりつつあります。
第三に、「顧客密着型R&D」の深化です。特に中国・インドでは応用開発拠点の拡充が活発で、自動車・コーティング・バッテリー分野を中心に現地顧客と並走する体制を整えています。
コロナ禍で一時的に落ち込んだ研究開発費も2022年以降は回復傾向にあり、構造的な再投資フェーズに入っています。
これらの動きは、R&Dが単なる技術部門ではなく、企業変革を推進する中核機能として再位置づけられていることを示しています。
―化学メーカーの研究開発における現在の課題は何だと考えていますか?
中津:最大の課題は、「環境・デジタル・スピード」の3要素をいかに両立させるかにあります。
まず、サステナブル技術への継続的な投資と、経済合理性の両立が求められます。バイオ由来原料や化学リサイクル、CO₂利用技術など、長期視点での研究開発投資が不可欠です。
また、AIや機械学習などのデジタルR&Dを実用化するには、技術者のスキル転換と社内インフラ整備が課題です。
さらに、M&AやCVCを通じたアジャイルなポートフォリオ管理も重要で、既存事業の整理と新分野への集中が進められています。
一方で、大学やスタートアップ、異業種との協業によるオープンイノベーションの比重も増しています。エネルギー転換や循環経済の実現には、単独企業では対応しきれない領域が多く、エコシステム型の研究開発体制が今後のカギになるでしょう。
知的財産権の面では、特許情報の公開にはタイムラグがあるため、他のデータソースも組み合わせることで、市場動向の把握力を強化することが求められています。
―今回の調査のここに注目してほしい!というポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。
中津:本レポートでは、欧米主要16社の過去3年以上にわたるR&D方針と注力分野を詳細に整理し、各社の方向性と特徴を体系的に比較できるようにしています。
研究開発費や人員数、特許出願動向を可視化しており、各社の技術戦略や成長領域の違いが明確に分かる構成になっています。
また、「集計編」では業界全体の潮流を、「個別企業編」では各社の戦略を深掘りしており、自社のR&Dポジションを客観的に把握したい方や、競合動向を追いたい方に有用です。
さらに、自社の研究開発体制を客観的に見直す材料としてだけでなく、パートナー候補の技術領域を把握するための参考資料としても活用していただける内容です。
グローバル化学産業が変革期を迎える今、本調査は「持続可能性と収益性を両立させるR&Dとは何か」を考えるための指針になると考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2025年 欧米化学メーカーのR&D戦略調査」レポートは絶賛発売中です。
ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。
「TPCビブリオテック」では自主企画調査レポートが購入可能です。
豊富な情報量で、様々なニーズに対応します。
サービスに関するご相談やお見積りを承っております。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
[ 24時間受付中 ]
[ 9:00-17:00 土日祝除く ]