リサーチャーに聞く!#150 『2025年 東南アジアの化粧品市場』調査のポイント

2025.12.18
  • リサーチャーインタビュー
  • Beauty & Cosmetics
リサーチャーに聞く!#150 『2025年 東南アジアの化粧品市場』調査のポイント

第150回は、2025年11月28日発刊の『2025年 東南アジアの化粧品市場』です!
今後も引き続き成長が見込まれる東南アジアの化粧品市場について、調査対象国における消費者の化粧特性や、現地企業および欧米・日系企業など海外企業の参入動向と展開ブランド、売上高、今後の展望などについて多角的に分析した当レポートについて、弊社リサーチャーの北口貴一、任倩怡、大澤杏菜に調査のポイントをインタビューしました!

 

北口貴一 プロフィール

リサ・リューション事業部 リューショングループ Beauty & Cosmetics
主任 北口貴一

—Profile—

2017年の入社以降、医療用医薬品、Healthチームを経て2019年より化粧品チームに所属。
現在では海外のマーケット調査や化粧品原料・OEMのコンサル業務なども担当している。
趣味はSNSで美味しそうなお店を見つけること、野球観戦(北海道日本ハムファイターズ推し)。
2026年の目標は、インドアな趣味を見つけること。チーターが好き。

 

任倩怡 プロフィール

リサ・リューション事業部 ソリューショングループ Beauty & Cosmetics
任倩怡

—Profile—

中国・広東省出身。
2019年に来日し、大学院で日本のテレビドラマを研究していた。
2023年に入社後、化粧品分野で消費者調査と中国の市場調査を担当している。
現在は毎月無料配信中のニュースレターで、「中国の化粧品ニュース」コーナーを執筆している。
趣味は映画とドラマを観ること。レッサーパンダ好き。

 

大澤杏菜 プロフィール

リサ・リューション事業部 リサーチグループ Beauty & Cosmetics
大澤杏菜

—Profile—

2024年に入社後、化粧品分野で消費者調査と市場調査を担当している。
直近では、女性の美容に関する消費者調査や、オーガニック・ナチュラルコスメの市場分析調査を担当。
韓国コスメをチェックするのがマイブームで、韓国語を勉強中。ネコとコビトカバが好き。

 


―なぜ、今回「東南アジアの化粧品市場」の調査を実施したのですか?

北口今回、じつに3年ぶりに東南アジアの化粧品市場について本格的な調査を実施したのですが、この3年間で市場は大きく変化しており、最新情報をまとめたレポートが欲しいとのお声を多くいただきましたので調査実施に至りました。
前回調査を行った時は、東南アジアを中国市場のネクストマーケットとして位置付ける日系企業が多かった印象ですが、近年は人口や経済の発展、美容意識の向上などの内部環境にくわえ、いわゆるチャイナリスクを背景とする中国依存からの脱却など外部環境の観点から、東南アジア市場をこれまで以上に重視する企業が増えているように思います。

 

―なるほど。次に市場の動向についてお伺いします。
これまで東南アジアでは美白ケアやエイジングケアへのニーズが高い印象でしたが、その傾向は現在でも続いているのでしょうか?何か変化などがあればお聞かせください。

仰る通り、東南アジアでは白い肌が美人の条件の一つとなっていることから、伝統的に美白ニーズは高く、美白化粧品市場は堅調に推移しています。ただこれまでと異なる点としまして、近年は“白い肌”に対する捉え方が変化しています。具体的に申しますと、肌は「白いほどいい」から「健康的で透明感が溢れる」ことを重視するようになってきており、Glowing SkinやGlass Skinなどがトレンドワードとなっています。
この背景としては、SNSなどでK-Beautyの情報が簡単に入手できるようになり、韓国女性のような肌に憧れを持つ消費者が増えたことなどが挙げられます。

また、エイジングケアについても多くの国で徐々に高齢化が進んでいることから、市場は拡大基調にあります。近年のトレンドトピックを1つご紹介しますと、紫外線による老化を防ぐ“抗光老化”が挙げられ、日焼け止め機能と抗酸化やシワ改善などのエイジングケア効果を両立する商品への人気が高まっていることも注目すべき点だと思います。また、近年はエイジングサインを予防する意識が浸透してきていることから、従来の中年層にくわえて20~30代など若年層のユーザーが増えていることも市場の成長に寄与しています。

 

―従来から人気の訴求についても、トレンドの変化や新たなニーズがみられるのは面白いですね。
東南アジアといえばハラル化粧品に対する需要も大きいかと思いますが、ハラル化粧品についてはいかがでしょうか?

大澤インドネシアやマレーシアは国民の大半がイスラム教徒であることから、従来より化粧品にイスラム教で禁止された成分を使用しないハラル化粧品のニーズがありましたが、近年はハラル訴求であることやハラル認証を取得していることを重要視する傾向が高まっており、特に若年層で顕著となっています。

例えばインドネシアでは、同国最大の化粧品企業であるParagonが「Emina」や「Make Over」などターゲット別に若年女性向けのハラル化粧品ブランドのラインアップを強化しているほか、2022年にはメンズ向けハラルブランド「Kahf」をローンチしています。なおインドネシアは、2026年10月に化粧品のハラル認証取得が義務化予定であることから、日系企業にとっても大きな転換点になるかと思います。

またマレーシアにおいては、ハラル認証取得の義務化予定はないものの、世界で唯一政府機関JAKIMによる認証制度が採択されていることから、国民のハラルへの意識が高く、小売店などで事実上ハラル認証を取得していない化粧品が取り扱われなくなる例もみらるようです。

さらに、これはインドネシアとマレーシアの両国にいえることですが、ハラル化粧品は単なる宗教的以上の意義を持つようにも変化してきています。どういうことかと言いますと、ハラル認証を取得するためには、配合成分はもちろん製造工程などにも厳格な基準が設けられていることから、ムスリムであるかに問わず、化粧品に安心・安全を求めるエシカル消費志向が高い若年層からの人気が高まっています。こうした背景から、ハラル化粧品に対する需要は今後ますます拡大していくとみられます。

 

―ムスリム以外からもハラル化粧品のニーズが拡大しているとは驚きでした。
東南アジア市場進出・事業拡大に向けて、チャネルやプロモーション、競争環境などはいかがでしょうか?

先ほど少しお話した通り、SNS経由で海外トレンドを積極的に入手する消費者が年々増えているのでプロモーションツールとしての活用には注力した方がいいかと思います。くわえて近年は、『TikTok Shop』などSNSとECの連動型プラットフォームを利用するユーザーが急拡大していることから、こうしたオンラインチャネルへの投資はこれまで以上に重要視されています。
また競争環境については、従来キープレーヤーであった欧米や日系ブランドのほか、韓国や中国などのアジア系ブランド、さらには現地ニーズに寄り添ったアイテムを強みとするローカルブランドが台頭してきており競争は激しくなってきております。

 

なるほど。最後に、本調査レポートの注目ポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。

北口本調査レポートは、東南アジア各国における市場動向のほか、国別に消費者の意識・実態などをまとめており、東南アジア市場への参入・事業拡大を検討されている企業様が市場環境を把握するうえで欠かせない1冊に仕上がっているかと思います。
引き続き大幅な伸長が見込まれる東南アジア市場ですが、魅力的な市場だからこそ、今後より一層競争が激しくなってくるでしょう。本レポートで市場環境を把握いただき、みなさまの東南アジア戦略策定の一助となれば嬉しく思います。
また最後になりますが、最近では東南アジア市場参入にあたって個別のご相談をいただく機会も増えております。参入国や販売代理店の選定など、個別の調査も承っておりますので、何かお困りごとなどございましたら、いつでもお気軽にお声がけください。

 

―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2025年 東南アジアの化粧品市場」レポートは絶賛発売中です。
ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。

 

 

『2025年 東南アジアの化粧品市場

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