リサーチャーに聞く!#161 『2026年 ケミカルメーカーのR&D戦略調査』調査のポイント

2026.04.13
  • リサーチャーインタビュー
  • Chemical & Life Sciences
リサーチャーに聞く!#161 『2026年 ケミカルメーカーのR&D戦略調査』調査のポイント

第161回は、2026年3月24日発刊の『2026年 ケミカルメーカーのR&D戦略調査』です!
本レポートは、国内主要ケミカルメーカー18社を対象に、各社の研究開発における現状と未来の方向性を多角的に分析したものです。業績や研究体制、研究開発費用・人員、最新の研究動向から特許出願状況まで、経営計画と連動した戦略を網羅的に整理しています。
今回は、本調査を担当した弊社リサーチャーの中津啓揚に調査のポイントをインタビューしました!

 

中津啓揚 プロフィール

 

リサ・リューション事業部 リサーチグループ Chemical & Life Sciences
中津啓揚

—Profile—

入社前まで、名古屋の自動車調査会社や東京のビジネス情報コンサルティング会社に勤務。
TPCに入社後は、生産財チームでケミカル分野の調査を担当している。

 


―なぜ、今回この調査を実施しようとしたのですか?

中津今回の調査は、ご好評をいただいた「2023年 ケミカルメーカーのR&D戦略調査レポート」のリニューアル版として、国内の主要化学メーカー18社を対象に実施しました。前回調査から約3年が経過する中で、各社の研究開発を取り巻く環境や重点領域、推進体制には大きな変化が見られ、そのアップデイトを体系的に整理する必要性が高まっていたことが背景にあります。
原材料価格の変動や地政学リスクの高まり、さらにはカーボンニュートラルへの対応など、経営環境の不確実性は一段と高まっています。こうした状況下において、限られた経営資源をどの領域に重点的に配分するか、また、研究開発の成果をいかに迅速に事業へと結び付けるかが、企業の競争力を左右する重要な課題となっています。
本調査では、研究開発費や人員といった定量データに加え、事業ポートフォリオ、組織体制、外部連携の取り組みなどを多角的に分析することで、各社のR&D戦略の全体像を明らかにしました。単なる現状把握にとどまらず、国内化学メーカーが今後どのように競争優位を確立していくのか、その方向性を読み解くためのインサイトを提供する内容となっています。

 

―今回の調査で、何か新たな発見はありましたか?

中津国内主要化学メーカー18社のR&D活動には、いくつかの共通した方向性と構造変化が見られました。
第一に、「成長領域への集中投資とポートフォリオの刷新」です。半導体材料、モビリティ、ライフサイエンスといった重点分野に対し、研究開発リソースを戦略的に再配分する動きが顕著となっています。特に半導体関連では、先端ロジックやパッケージング材料への対応を軸に、複数の企業が中長期テーマとして位置付けており、競争領域の特定が進んでいます。
第二に、「サステナビリティ起点の研究開発の拡大」です。カーボンニュートラルや資源循環への対応を背景に、バイオ原料の活用やケミカルリサイクル、CO₂利活用といったテーマが広がっています。従来の環境対応を超え、事業機会として捉える姿勢が強まっている点が特徴です。
第三に、「研究開発体制の高度化とオープンイノベーションの深化」です。社内の基盤技術と事業部門を横断する体制構築に加え、スタートアップや大学との共同研究を通じた技術獲得が加速しています。また、海外拠点を含めたグローバルな開発ネットワークの活用も進み、顧客ニーズに近い領域での開発力強化が着実に進められています。

 

―国内化学メーカーの研究開発における現在の課題は何だと考えていますか?

中津国内化学メーカーの研究開発における課題は、「選択と集中の精度」「事業化スピード」「組織横断の実行力」の3点に集約されると考えています。
まず、「選択と集中の精度」です。研究開発費の総額や売上高比率は大きく変わらない中で、限られたリソースをどの領域に配分するかがこれまで以上に重要になっています。半導体材料やライフサイエンス、環境関連といった成長領域がより鮮明になる中、全領域に資源を分散することは難しく、不採算テーマからの撤退や縮小を含めた、ポートフォリオの抜本的な見直しが求められています。
次に、「事業化スピードの向上」です。日本企業は基盤技術に強みを持つ一方で、研究開発成果を事業として立ち上げるまでに時間を要する傾向があります。市場環境の変化が速まる中では、開発初期段階から用途開発や顧客連携を組み込み、検証と意思決定のサイクルを短縮することが不可欠です。特にスタートアップとの連携や実証フェーズの迅速化が重要なテーマとなっています。
さらに、「組織横断の実行力」です。多くの企業で基盤技術部門と事業部門、さらには新規事業開発部門が併存していますが、それぞれの連携が十分でないケースも見受けられます。研究開発テーマを事業戦略と結び付け、全社的な優先順位のもとで推進するためには、意思決定プロセスや評価指標の見直しが必要です。

 

―今回の調査のここに注目してほしい!というポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。

中津本レポートでは、国内主要化学メーカー18社を対象に、直近3年間のR&D方針と重点領域を網羅し、各社の戦略の違いや共通点を体系的に比較できる構成としています。企業ごとの取り組みを単独で捉えるのではなく、業界全体の中でどのポジションにあるのかを俯瞰できる点が大きな特徴です。
特に、研究開発費や人員規模、売上高比率といった定量データに加え、注力分野や技術テーマ、外部連携の状況などを整理しており、各社がどの領域に経営資源を集中しているのかが明確に把握できる内容となっています。半導体材料、モビリティ、ライフサイエンス、環境・エネルギーといった主要テーマごとの比較も容易になっており、競争領域の重なりや差異を読み解くことができます。
「集計編」では国内化学産業全体の研究開発トレンドや18社の競争力を分析し、「個別企業編」では各社の戦略や体制、重点テーマを詳細に調査しています。これにより、自社のR&Dポジションを客観的に確認したい方や、競合企業の動向を把握しておきたい方にとって、実務的に活用しやすい内容となっています。
どの領域に投資が集まり、どのような体制で新規事業創出が進められているのかを把握することで、自社の戦略立案やアライアンスの検討にも活用いただけます。
国内化学メーカーが構造転換を進める中で、R&Dの在り方そのものが問われています。本調査は、「成長領域への集中と持続的な競争力確保をいかに両立するか」を考えるための実践的な指針としてご活用いただけるものと考えています。

 

 

 

―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2026年 ケミカルメーカーのR&D戦略調査」レポートは絶賛発売中です。
ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。

 

 

『2026年 ケミカルメーカーのR&D戦略調査

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