美容・化粧品
第168回は、2026年5月25日発刊の『2026年 PFAS代替素材の用途別市場と実装動向』です!
主要用途ごとのPFAS使用実態と代替素材の適用可能性を整理するとともに、技術成熟度、性能ギャップ、導入ハードル、コスト構造といった観点から、実装の進展状況を体系的に分析した当レポートについて、弊社リサーチャーの中津啓揚に調査のポイントをインタビューしました!
中津啓揚 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Chemical & Life Sciences
中津啓揚
—Profile—
入社前まで、名古屋の自動車調査会社や東京のビジネス情報コンサルティング会社に勤務。
TPCに入社後は、生産財チームでケミカル分野の調査を担当している。
―なぜ、今回この調査を実施しようとしたのですか?
中津:今回の調査は、世界的に規制強化が進むPFAS(有機フッ素化合物)を取り巻く市場環境と、代替素材市場の実態を体系的に整理することを目的として実施しました。PFASは半導体、EV、包装材、繊維、医療など幅広い産業で使用されてきましたが、EU REACH包括規制案や米国州規制の進展により、各業界で非フッ素化への対応が求められています。
一方で、PFAS代替は単純な材料置換で解決できるテーマではありません。用途によって求められる性能や認証条件、顧客工程が大きく異なり、実際には「どの用途で、どこまで代替が進むのか」が見えにくい状況となっています。特に半導体や医療分野では、性能・品質保証・供給安定性まで含めた実装課題が大きく、市場形成の時間軸も用途ごとに大きく異なります。
本調査では、単なるPFAS規制の整理ではなく、「どの代替材料が、どの用途で、どの程度実装段階に入っているのか」を市場・技術・企業戦略の観点から分析しました。市場分析編では用途別市場構造や普及シナリオを整理し、個別企業編では国内外主要メーカーの代替アプローチや製品展開、研究開発動向の実態を調査しています。PFAS代替市場を“規制対応市場”としてだけでなく、“次世代材料競争市場”として読み解く内容となっています。
―今回の調査で、何か新たな発見はありましたか?
中津:今回の調査を通じて特に印象的だったのは、PFAS代替が単なる非フッ素化競争ではなく、用途最適化競争へ移行している点です。
従来は、PFASが持つ撥水・撥油・低摩擦・耐薬品性などを、非フッ素材料でそのまま置き換えるアプローチが中心でした。しかし現在は、用途ごとに要求性能や顧客工程が異なるため、材料設計だけでなく、加工条件や工程設計まで含めた“ソリューション型開発”が主流になりつつあります。
特に半導体分野では、その傾向が顕著でした。フォトレジストや仮貼り材料、超純水配管材などでPFASフリー化が進みつつありますが、重要なのは単にPFASを除去することではなく、歩留まりや微細加工精度、生産性を維持できるかという点です。そのため、材料メーカー単独ではなく、半導体メーカーや装置メーカーとの共同開発が増えています。
また、用途ごとの代替速度の差も非常に大きいことが見えてきました。包装材や繊維分野では、既存材料の応用による量産化がすでに進みつつある一方、燃料電池や半導体EUV材料では、依然として研究開発段階が中心です。PFAS代替市場は一律に進むのではなく、用途ごとに異なる時間軸で進行している点が大きな特徴といえます。
―PFAS代替素材市場における現在の課題は何だと考えていますか?
中津:PFAS代替素材市場の課題は、「性能」「実装」「認証・供給体制」の3点に集約されると考えています。
まず最大の課題は、PFASが持つ多機能性を単一材料で完全代替することが難しい点です。特に撥油性、超低表面エネルギー、高耐薬品性、高温耐久性といった領域では、現時点でも性能差が残っています。そのため、実際には単純な材料置換ではなく、多層化や複合材料化、工程変更を組み合わせた対応が増えています。
次に、実装の課題です。代替材料が存在していても、量産工程への適用には別のハードルがあります。半導体や医療分野では、ppbレベルの不純物管理や長期耐久評価、顧客認証が必要となるため、材料性能だけでは市場参入できません。現在は「良い材料を開発できるか」よりも、「安定供給・量産・認証まで含めて実装できるか」が競争力を左右する局面に入っています。
さらに、規制そのものの不確実性も大きなテーマです。例えばHFO冷媒は低GWP材料として普及が進んでいますが、一部はPFAS包括規制案の対象候補にも含まれており、代替後の再規制リスクが議論されています。今後は単なるPFASフリーではなく、ライフサイクルアセスメントや環境残留性まで含めた包括的な環境適合性が重要になると考えています。
―今回の調査のここに注目してほしい!というポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。
中津:本レポートで特に注目いただきたいのは、PFAS代替市場について、単なる規制動向や材料紹介にとどまらず、「2035年までにどの用途で、どの程度実装が進むのか」を市場予測まで踏み込んで分析している点にあります。
市場分析編では、包装材、半導体、EV、コーティング、繊維、医療など主要用途ごとに、規制インパクト、代替難易度、主要代替材料、量産化状況を整理したうえで、2035年までの用途別市場規模および実装率を予測しています。特に、用途によって代替スピードや市場形成時期が大きく異なるため、「どの分野が先行市場になるのか」「どの領域では長期的な技術開発が必要なのか」を比較しながら把握できる内容としています。
また、性能面だけでなく、価格帯や加工コスト、認証負荷、量産性といった“実装面”まで踏み込んで分析している点も大きな強みです。PFAS代替は技術的に実現可能であっても、コストや生産性の観点から実際には普及が進みにくいケースも多く、単純な機能比較だけでは市場性を判断できません。本レポートでは、用途ごとのコスト構造や採算性も踏まえながら、現実的な普及可能性を整理しています。
さらに最終章では、PFAS規制強化シナリオごとに市場構造の変化を分析し、素材メーカー、部材メーカー、ユーザー企業が今後どのような戦略を採るべきかについて提言しています。「完全非フッ素化」へ進むべき領域と、「規制適合型材料」や「プロセス最適化」によって対応が継続する領域を整理し、中長期的な競争軸について考察しています。
PFAS代替市場は、今後10年で材料産業の競争構造を大きく変える可能性があります。本レポートは、その市場形成プロセスを用途別・時間軸別に読み解くための実践的なマーケットレポートとして活用いただけるものと考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2026年 PFAS代替素材の用途別市場と実装動向」レポートは絶賛発売中です。
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