リサーチャーに聞く!#163 『2026年 世界のバイオ医薬品CDMO市場』調査のポイント

2026.04.14
  • リサーチャーインタビュー
  • Chemical & Life Sciences
リサーチャーに聞く!#163 『2026年 世界のバイオ医薬品CDMO市場』調査のポイント

第163回は、2026年2月13日発刊の『2026年 世界のバイオ医薬品CDMO市場』です!
バイオ医薬品を受託の立場から支えるCDMOの動向を調査・分析。具体的には、企業概要、沿革、事業体制、売上高推移、提携状況、今後の展開について多角的に調査・分析した当レポートについて、弊社リサーチャーの天野洋介に調査のポイントをインタビューしました!

 

天野洋介 プロフィール

リサ・リューション事業部 ソリューショングループ Chemical & Life Sciences
主任 天野洋介

—Profile—

入社当時から、Chemical分野での調査を担当している。
これまでに、医薬品原薬・中間体、界面活性剤、農薬、医薬品のCDMO市場等の調査を行った。

 


―なぜ、今回、バイオ医薬品CDMO市場の調査を実施しようとしたのですか?

天野近年では製薬メーカーやバイオベンチャーによる創薬パイプラインが拡大しており、開発初期段階から商用生産に至るまで、外部リソースを活用する動きが一段と強まっています。こうした流れを受け、バイオ医薬品CDMOへの開発・製造委託需要がグローバルに拡大しております。CDMO各社では受託案件獲得のため、研究開発支援から製造プロセス開発、臨床用原薬製造、商用生産までを一貫して対応可能なサービス体制を構築しております。
引き合いが急増しているこの時期に、バイオ医薬品CDMOの市場規模や将来性、さらにはグローバル・国内主要各社の設備投資動向や戦略を調査・分析することは、参入検討企業や関連サプライヤーの方々にとって極めて有益な情報提供になると考え、本調査を開始いたしました。

 

―なるほど。では、今回の調査について、どのような仮説をお持ちですか?

天野バイオ医薬品CDMO市場では近年、「対応範囲の拡大」が進んでいるのではないかという仮説を立てました。従来、CDMOは主にバイオ医薬品の開発および製造を受託する役割が中心でしたが、市場の成長や競争激化を背景に、単なる受託だけでは差別化が難しくなりつつあります。そのため、サービス領域を拡張することが競争力を左右する重要な要素になっていると考えています。
具体的には、抗体医薬品といった従来のモダリティへの対応にとどまらず、ADC(抗体薬物複合体)や遺伝子治療など、より高度な技術基盤を要する次世代バイオ医薬品の受託能力を持つCDMOの存在感が高まっていると考えられます。これらの分野は製造難易度が高く、設備投資や専門人材の確保が不可欠であり、対応できる企業が限られることから、大きな差別化要因となるためです。
さらに、開発・製造フェーズにとどまらず、創薬初期の研究段階から顧客と伴走するビジネスモデルも拡大していると考えています。研究段階から関与することで、顧客との関係を長期化・高度化できる点が大きなメリットです。
このように、CDMOは今後、技術領域の高度化とサービス範囲の拡張を同時に進めることで競争力を維持・強化していく必要があり、どこまで顧客のニーズをカバーできるかが生き残りの鍵になるのではと考えました。

―わかりました。今回の調査で、何か新たな発見はありましたか?

天野まず、次世代バイオ医薬品として注目されるADC受託への注力が顕著になっています。例えば、韓国のバイオ医薬品CDMOのサムスンバイオロジクスは2025年3月にADC専用の製造拠点を稼働させるなど、急増する需要を取り込む動きを強めています。また、スイスのグローバル大手CDMOのロンザも、ADC関連の充填ラインや結合施設の拡張をスイス拠点で積極的に進めており、特定の高付加価値モダリティに特化したインフラ整備を行っていることが明らかになりました。
技術面では従来のステンレス製タンクに代わり、シングルユースバッグ培養槽(SUB)を活用した生産体制が主流化しています。国内大手CDMOのAGCは、このSUBの「設備投資負担が低い」、「多品種・小ロットに強い」、「短納期対応が可能」といったメリットを活かし、大規模商用生産だけでなく、中堅・中小の開発案件や臨床段階の案件をターゲットにするという明確な差別化戦略を打ち出しています。
さらに、大手CDMO各社は、研究開発支援からプロセス開発、臨床用製造、そして商用生産までを一貫して引き受ける「一気通貫型(エンド・ツー・エンド)サービス」の構築を行っているCDMOもいることがわかりました。例えば、中国のグローバルCDMOは研究段階より案件を請け負っています(独自のCRDMO事業を展開)。これにより、製薬企業は開発フェーズごとの委託先変更に伴うリスクやタイムロスを回避できるようになり、CDMOにとっては早期段階から顧客を囲い込む重要な戦略を敷くことができます。
このように主要CDMOは案件獲得のために様々な視点からCDMO戦略を展開していることが明らかになりました。

 

―各社の戦略によって、バイオ医薬品CDMO市場はますます拡大していきそうですね。

天野はい。また、今後の市場成長を語る上で、「遺伝子治療CDMO」への対応はCDMOにとって不可欠になると考えられます。遺伝子治療は、従来の治療法では困難だった疾患に対する根本的な治療の選択肢として、現在パイプラインが増加しています。しかし、その製造プロセスは抗体医薬品以上に複雑であり、ウイルスベクターの構築や高度な品質管理体制、さらには特殊な凍結保存設備など、極めて専門性の高いインフラが求められます。先行するグローバル大手CDMOが、すでにウイルスベクターの生産能力拡充に投資を行っていることからも、この領域が将来的に成長していくと予測されています。抗体医薬品やADCに次ぐ新しいモダリティとして遺伝子治療を捉え、その複雑なサプライチェーン体制を構築することが非常に重要であると調査をして感じました。

 

―ありがとうございます。最後に資料の活用ポイントを是非聞かせてください。

天野バイオ医薬品CDMO市場は低分子医薬品CDMO市場と比べると市場規模は小さいですが、伸長率は非常に高く、今後、医薬品市場の中で存在感を示していくとみられます。その中で、製薬メーカーやバイオベンチャーの受託の立場から支えるCDMOの存在はますます重要になっていくと考えられます。
当資料では、バイオ医薬品CDMOの事業体制や売上高、提携状況、今後の戦略について記載しております。バイオ医薬品CDMOに関連する企業様や製薬メーカー、バイオベンチャーのお客様にとって有益な情報が掲載されており、事業戦略にお役立ていただける内容となっております。是非ともご試読・ご検討いただけますと幸いです。何卒よろしくお願いいたします。

 

―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2026年 世界のバイオ医薬品CDMO市場」レポートは絶賛発売中です。
ご興味がございましたら是非とも弊社にお問い合わせくださいませ。

 

 

『2026年 世界のバイオ医薬品CDMO市場

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