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2023.05.16

リサーチャーに聞く!#45 『2023年 東南アジアのプラントベースフード市場』調査のポイント

PRESS

FOOD & DRINK

第45回は、2023年4月17日発刊の『2023年 東南アジアのプラントベースフード市場』です!
東南アジアにおけるPBF市場成長の現状を国、種類、企業、ブランド、原料といった観点から分析し、また、それらの市場が拡大している背景を調査し、海外PBF市場の将来性について情報を提供している当レポートについて、弊社リサーチャーの佐藤照穂に調査のポイントについてインタビューしました!

 

佐藤照穂 プロフィール

リサ・リューション事業部 リサーチグループ  Health&Food

佐藤照穂

—Profile—

2018年入社。食品⇒医薬品⇒ヘルス&フードと幅広い領域で市場調査レポートを担当。

R&Dや海外など企業の基幹戦略に関する調査を担当している。

最近はスマートグラスやチャットAIといった最新技術に関心が高い。

 


―なぜ、今回この調査を実施しようとしたのですか?

佐藤プラントベースフード(以下PBF)の市場はお客様が高い関心を有している領域で、弊社でもこれまで様々な観点から調査を行って参りました。海外については最新のトレンドである欧米に関する調査を過去に実施していますが、市場が急速に拡大した結果、これらの市場では競争が激化している印象を受けます。
この結果として今、人口や経済成長の観点から東南アジアの新規市場に対する関心が海外のPBFメーカーでは増加している…というお話を伺いましたが、これらの企業がどのようなアプローチで市場にチャレンジしているのかといった点や、現状で東南アジアにおけるPBFはユーザーを獲得できているのかといった点には驚くほど情報が少ないのが現状です。
今後、新規の市場として東南アジアに注目している企業担当の方や、PBFのグローバルな動向に目を向けている方に向けて、市場性を把握して頂くための材料が必要ではないかと考えました。

 

 

―なるほど… では今回の調査ではどのようなことが明らかになったのでしょうか?

佐藤調べ始めた頃は”東南アジアのPBF市場なんて欧米の有名なメーカーがほとんどでしょ?”と考えていたのですが、意外にも地場のスタートアップの方が商品展開で先行しているケースが多いということに驚かされました。
勿論、規模としてはまだまだ成長段階の企業が多いわけですが、これらの企業は欧米企業が本格参入する前から自国発のブランド創出に取り組み、価格帯やメニューで欧米ブランドとの差別化に取り組んでいます。日本でもPBFはまだまだ価格が高いというイメージがあるかと思いますが、農業国であるタイでは自国産の農作物を使うことで価格を抑え、市場競争を有利に進めようという戦略もみられました。
これらの企業の努力は単純な商品の差別化だけでなく、農業需要の創出や農作物のクオリティアップなど、幅広い利害関係者にメリットをもたらしています。最近ではウクライナ問題に伴う大豆などの原料高騰や輸送コストの増加が各社にとっての課題となっていますが、この戦略はこうした諸問題への対応策にもなっていますね。

 

―それは面白いですね!
東南アジアではどのような商品が注目されているのでしょうか?

佐藤市場として大きいのは豆乳を中心とする代替乳市場ですが、急速に伸長しているのはやはり代替肉のブランドです。特にシンガポールは国策として食糧自給率の向上を目標に掲げ、様々なフードテック企業を誘致・支援しています。近年ではNext Gen Foodsの「TiNDLE」(代替肉)が海外展開をスタートしたことで話題となりました。
また、インドネシアではGreen Rebel Foodsなどのスタートアップが急速に事業を拡大しています。これらの企業では現地の嗜好に合わせた商品開発を行い、インドネシアの伝統料理をレトルトや冷凍食品に落とし込んでいます。同国では個食が一般化していて、食べ慣れているものを選ぶ傾向があると伺いますので、欧米とは全く異なる観点から商品設計を行い、現地のユーザーを獲得していると言えるのではないでしょうか。
他にも、イスラム教や仏教などの宗教ニーズに対応した商品も徐々に品目数を増やしている印象があります。

 

―なるほど、様々な点で欧米との差異がありそうですね。
レポートでは日本や欧米との違いも見えてくるのでしょうか。

佐藤:レポートにまとめるに際し、「欧米のプラントベースフード」との比較を念頭において作成させて頂きました。特に商品トレンドに関しては欧米と類似している部分が多いものの、”似て非なるもの”として東南アジア独自の事情が見える部分になっているかと思います。
また、ページの大部分を市場規模分析に費やしておりますので、主要プレイヤーとその動向、拡大している背景など幅広く東南アジアの状況を掴みたい方にも十分に応えられる内容になっております。各国によって事情が大分異なっている部分もございますので、是非皆様にご確認頂ければと思います。

 

 

 

―ありがとうございます
最後になりますが、読者の皆様に一言ありましたらお願いします。

佐藤東南アジアはまだまだこれからの市場ということもあり、欧米のように参考にしにくいとお考えの方もいらっしゃるかもしれません。しかし、今後の市場としての将来性や欧米との差別化を図る地場企業の戦略は、実際に調べてみて非常に興味深いものでした。
確かに市場としては発展途中の領域でございますが、まだ市場が固まっていない今だからこそ、様々な企業の参入戦略をご覧になって頂けるタイミングではないでしょうか。

 

『2023年 東南アジアのプラントベースフード市場』