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第125回は、2025年6月6日発刊の『2025年 ダイヤモンド半導体市場の将来展望』です!
ダイヤモンド半導体に関する技術動向・市場予測・参入企業の戦略・応用分野別のニーズ分析などを総合的に捉え、今後の市場成長ポテンシャルおよび実用化に向けた展望を明らかにすることを目的とした当レポートについて、弊社リサーチャーの中津啓揚に調査のポイントをインタビューしました!
中津啓揚 プロフィール
リサ・リューション事業部 リサーチグループ Chemical & Life Sciences
中津啓揚
—Profile—
入社前まで、名古屋の自動車調査会社や東京のビジネス情報コンサルティング会社に勤務。
TPCに入社後は、生産財チームでケミカル分野の調査を担当している。
―なぜ、今回この調査を実施しようとしたのですか?
中津:現在、次世代パワー半導体としてSiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)が注目を集める中で、それらを凌駕する物性を持つダイヤモンド半導体への関心が産業界で急速に高まっています。特に脱炭素やエネルギー高効率化のニーズを背景に、高耐圧・高周波・高熱伝導といった特長を活かせる素材として、電気自動車や再生可能エネルギー分野、さらには宇宙・航空といった厳しい環境での応用が期待されており、市場のポテンシャルを把握する必要性が増してきました。
しかし現時点では、技術開発の進捗状況や参入企業の動向、市場規模の将来予測について体系的な情報が少なく、全体像を捉えることが困難です。
そこで本調査では、材料開発、量産技術、応用展開の三つの視点から、ダイヤモンド半導体の技術と市場の現状および将来展望を明らかにすることを目的としました。企業の研究開発戦略やパートナーシップ検討にも資する実践的な情報を提供できればと考えました。
―今回の調査で、何か新たな発見はありましたか?
中津:はい、今回の調査を通じて、ダイヤモンド半導体に対する市場と技術の成熟度に関して、従来の認識を改めるいくつかの新たな発見がありました。まず、宝飾用合成ダイヤモンドの需要が増加したことで、産業向けの合成ダイヤモンドの価格が低下していることが挙げられます。
また、特に注目すべきは、これまで実用化が遠いとされていたダイヤモンド基板の大口径化やエピタキシャル成長に関する技術進展が、想定以上のスピードで進んでいる点です。国内外で複数のスタートアップや大学発のベンチャー企業が独自技術を確立しつつあり、従来の大手材料メーカーとは異なる構造で新しいエコシステムが形成されつつあることも印象的でした。
さらに、宇宙・防衛、5G基地局、EV急速充電器など、想定以上に多様な応用ニーズが顕在化してきており、単なる材料開発ではなく、実装技術との同時進行で実用化が進んでいることも新たな発見の一つです。加えて、複数の企業がアプリケーション開発を視野に入れたパートナーシップや共同研究を開始しており、サプライチェーンの垂直統合ではなく、オープンな連携による市場形成の動きが見られることも注目点です。
市場予測の面でも、特定用途に限られた成長ではなく、複数分野での需要拡大が見込まれることから、今後の動向を継続的に追う必要性を再認識しました。
―ダイヤモンド半導体市場に参入を検討している企業にとり、現在の課題は何だと考えていますか?
中津:ダイヤモンド半導体市場への参入を検討する企業にとって、現在の最大の課題は、技術的不確実性と事業化の見通しの難しさ、にあります。ダイヤモンドは、理論上は既存のSiCやGaNを大きく上回る性能を持つ次世代材料ですが、依然として高品質な基板の安定供給や、再現性のあるエピ成長、デバイス構造の確立といった面で技術的ハードルが残されています。特に基板の大口径化とコスト低減は、量産体制を構築する上で避けて通れない課題です。
また、デバイス設計においても既存の設計手法が通用しにくく、材料物性に即した新たな構造設計やプロセス技術の確立が求められます。こうした開発には長期的な視点と多額の投資が必要であり、リターンを見通しにくい段階での意思決定は企業にとって大きなリスク要因となります。
さらに、ターゲット市場との接続も重要な論点となります。EVや再生可能エネルギー、宇宙・防衛、通信といった先進分野では高性能デバイスへのニーズが明確である一方、それぞれの業界が求める製品仕様や信頼性評価に応えるには、単に材料を供給するだけでなく、応用システムとの協調開発が不可欠です。つまり、材料サプライヤーとして参入する企業であっても、エンド用途を見据えた開発体制やパートナー戦略を同時に構築する必要があります。
―今回の調査のここに注目してほしい!というポイントがございましたら、是非ともお聞かせください。
中津:今回の調査では、ダイヤモンド半導体に関する技術や市場の将来性だけでなく、「どの企業が」「どのように」この分野に挑んでいるのかという実態を明らかにした点に注目いただきたいです。特に、国内外のスタートアップや研究機関、大手材料メーカーなどの取り組みを分析し、それぞれの強みや技術開発の方向性、ターゲット市場などを体系的に整理しています。これにより、業界の構造や競争環境、パートナー候補の選定といった視点でも実務的に活用できる内容となっています。
また、ダイヤモンド半導体の実用化には時間がかかるという見方がある一方で、すでに応用展開が始まりつつある分野も明らかになってきました。本調査では、将来だけでなく「今、どこで使われようとしているか」という現在の動向にも焦点を当てており、参入タイミングや事業機会を見極める上でのヒントになると考えています。
―本日は貴重なお話をありがとうございました。
さて、今回インタビューした「2025年 ダイヤモンド半導体市場の将来展望」レポートは絶賛発売中です。
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